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初日公演が終わった。

 初日公演が終わった。
 観客が居なくなった後の閑とした静けさと、芝居の余熱が残る芝居小屋が僕は好きだ。ほんの少し前、舞台に現れ、悩み、喜び、笑い、涙を流した登場人物たちは、今は何をしているのだろう。
 誰も居ない舞台に、それらの人々の残像が浮かんでは消えていく。

 人が生きると言うことは、その人生の中で、醜い瞬間もあれば、例えようもなく美しい瞬間があるのだと実感することだと思う。
 その一瞬を、舞台に切り取ることが出来たら、観客と舞台がひとつになれる。その為に役者は、舞台の上で与えられた役を生きる為に、必死に命を燃やす。
 役者が渇望するのは、造られた仮想の空間で、真実を生みだす瞬間を生きることだ。それは とても単純なことで、観客と芝居を愉しむことなんだと僕は思う。

 様々の人の支えと援けが有って、始めて芝居が出来あがった。
 舞台装置を作ってくれた人。効果音や音楽を見つけてきて、音響をやってくれた人。ポスターを印刷してくれた人。受付でチケットのモギリをやってくれた人。黙々と掃除をしてくれた人。ビデオを廻してくれた人。髷を結ってくれた人。髷の結い方を考えてくれた人。ずらを作ってくれた人。根気よく足を運び、ポスターやチラシを配ってくれた人。自分の時間を使い芝居を支えてくれた人は、舞台にはその姿を見せない。

 そんな多くの人たちへの感謝を忘れた役者は、舞台で生きることは出来ない。 

 開演前のまだ眠っている芝居小屋で、僕 はいつもそうやって自分を戒める。やがて観客が入り、幕が開き、明かりがつき、役者が舞台の空間を押し広げる。最初の台詞が響く。さあ、僕も与えられた役の命を、舞台で生きてこようか。

八女福島文平座 中村文平



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2014/03/18 11:56 | COMMENT(0)TRACKBACK(0)

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